取組事例

ローカル5G実証フィールド構築及びローカル5G映像伝送実証

令和2年、ローカル5G電波基地局(28GHz帯、NSA方式)を活用した電波通信環境を整備するとともに、通信状況を把握する実証フィールドが実施された。さらに翌年の令和3年には、その整備した電波環境を用いて、高精細な映像を伝送するとともに関連デバイスの評価試験を行った。

ローカル5G実証フィールド構築

まずは5Gの特性を知ることからスタート

令和2年、ローカル5Gの電波を放出することができるようになったものの、それまでとは全く違う周波数(28GHz帯)の電波において、

  • どの方向にどういった状態で電波が届くか
  • 通信状態が悪い場合、その原因は何か?
  • 通信状態の改善にはいったい何が必要なのか?

といった、通信状況の把握や受信機や端末といった機器など、あらゆる面からの実証実験が必要だった。

実証フィールドの内容

愛媛県産業技術研究所の敷地内を中心に電波環境を調べるために、ハンドヘルドスペクトルアナライザとホーンアンテナを持ちながら測定を行った。

ローカル5G発信機
ローカル5G受信機
①~の地点で電波の測定を実施
出典:地理院地図を加工して作成
ハンドヘルドスペクトルアナライザを使い測定している様子

 

実証フィールドの結果

地点①
地点⑤

地点①と地点⑤ではアンテナからの距離は同程度だったが、地点①はアンテナの見通しが良いのに対して、地点⑤は木が邪魔になり、見通しが悪かった。その結果、地点①では-59dBm、地点⑤では-71dBmと電波の強度差が大きく、28GHz帯の電波はアンテナとの直線上に木などの遮蔽物があると、電波の強度が弱まることが確認できた。

さらに、電波の強度の測定を、愛媛県産業技術研究所内、及び周辺でも実施したところ、施設内でも微弱ながら電波を受け取ることができた。さらに屋外では、見通しがよければ約500m離れた地点でも電波を受けることが確認できた。

今回の実証フィールドでは、5Gの電波の特性などが把握できた。この結果をもとに、愛媛県産業技術研究所としては、ローカル5Gを活用した製品開発の支援を行っていきたいと考えている。

ローカル5G映像伝送実証

4Gと5Gを使った高精細画像の比較検証

令和3年には、4Gと5Gの電波を使い高精細な4Kの画像がスムーズに流れるかの比較検証を行った。

YouTubeLive映像を4Gと5Gのそれぞれの電波を使いモニターに映像を映し出す。

実証の結果

4G、5G経由の高精細映像を比較したところ、5G経由の映像は問題なく視聴できたのに対し、4G経由の映像はときおりカクカクと映像が止まることが確認された。
映像配信の比較により、5Gにおける大容量の映像伝送の有効性が実証できた。

愛媛県産業技術研究所「久米窪田5Gラボ」内にて、実際の4Gと5Gを使ったライブ映像を視聴することができる。

イベントでも活躍しているローカル5G

これらの実証実験から、5Gは大容量の映像伝送に向いていることが明らかになった。
この結果を受けて、愛媛CATVは令和4年6月に実施された「全国商工会議所観光振興大会2022inえひめ松山」においてステージイベントの生中継を、城山公園からローカル5Gを使って全国に向けて放送を実施。すでにローカル5Gを使った放送を展開している。

愛媛CATVは、5Gを使えば「動画がキレイに途切れることなく見られる。インターネット速度が速い」など、多くの人たちにとってメリットがあると考えている。5Gインフラが整い、たくさんの人が5Gの恩恵を受けられる未来を期待したい。

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